その他
常盤(ときは)なる 松の緑も春来れば いま一入(ひとしほ)の色勝りけり 源 宗千 古今和歌集
常盤木の松の緑も、春が来れば、もう一たび染めたように、色鮮やかになったようだよ。
春の松の鮮やかさが、清新の気を感じさせてくれます。
桐の絵馬に金泥、銀泥を塗り重ね、散らし書きしました。
うれしさを昔は袖につつみけり 今宵(こよひ)は身にもあまりぬるかな 読み人知らず 新勅撰集
『御文章』に蓮如上人が「古歌」として引用、解説していらっしゃいます。
嬉しさとは、阿弥陀仏様に救われる以前は袖に包めるほどのものでした。阿弥陀仏様に救われた今宵、その喜びは身に余るほどのものになっています。
京都展では入口にA2版ポスターを用意。掛軸「故郷の茶」の隷書を中心に据えたデザインです。
書遊さんの一階奥で掛軸修復の実演があり、多くのお客様が、二階の展示にもよってくださいました。
文字を書かない絵画的な作品を手がけました。青い印泥で「Shu」の印を押印しています。どう作るのかわからない、と言っていただけたのは嬉しかった。ですが、墨をこねて、筆でなすりつけて、紙を裂いて貼ったまでのものです。
この上に和歌を書いてみては、とのご意見、東京展でも京都展でも多数いただきました。文字を書かない作品として始めたものですが、次の発表の機会までに、何か書いてみようかと。
「漣」と「黎」というタイトルの作品が若王子倶楽部ギャラリー左右で展示していただいています。
https://www.sayuu.jp/p005_detail.html?search=%E5%B7%A6%E5%8F%B3%
半紙、半懐紙サイズを額装した作品を7点。扇面を額装した作品を6点展示しました。東京展以降新調した額には、今まで集めていた、反物の端切れを使い、作品に落ち着いた雰囲気をまとわせました。
写真に写る、手前の額は、滲みを研究した和紙文化研究会のデータを実作に生かしたものです。
掛軸の表現はまだまだ可能性を秘めています。
床の間に飾るご家庭は少ないでしょう。リビングや玄関などにも空間のアクセントにとしてかけてくださる方がいらっしゃいます。そのために素材、質感、長さなど、我々作家が考えなければならないところが沢山ある表現形態だと思っています。