思へども 身をし分けねば目に見えぬ 心を君にたぐへてぞやる 伊香子淳行
思っていても身を分けることができないので、目に見えない私の心を貴方に添わせていかせます。
雲居にも深き心の遅れねば 別ると人に見ゆるばかりなり 清原深養父
雲にまで行き交う私の心は貴方に遅れることはないので、別れていると人には見えるばかり、心はいつでも一緒なのです。
別るれど嬉しくもあるか 今宵より あひ見ぬ先に何を恋ひまし 凡河内躬恒
今別れますが嬉しい気もします。今宵からは貴方のことを思いながら過ごします。出会う前はいったい何を恋しがっていたのでしょう。
思ひやる心ばかりは障らじを何隔つらん 峰の白雲 橘 直幹
思いをはせる心は何も妨げることはできないのに、あの白雲は何を隔てようとして峰にかかっているのでしょうか。