中州の盛日、閨門多く暇なり。記し得たり、三五を偏(ひとへ)に重んぜしを。
鋪翠の冠兒、撚金雪柳、簇帯、濟楚を爭(あらそ)ふ。如今、憔悴し、風鬟し、霜鬢す。怕見(ためらふ)、夜間に出去することを。簾兒の底下に向(お)いて、人の笑ひ語れるを聴くに如かず。
中州華やかな日をのんびり過ごしました。覚えています。正月十五日元宵節を大切にしていたことを。かわせみの羽の冠、金糸絹紙の髪飾り、簇帯の清楚なことを競いました。今は憔悴し、髷は痩せ、霜のような白髪になり、夜の外出が億劫になりました。ただ外出よりも簾の奥で、私は人々が談笑していることを聴いていればいいのです。
李清照の「永遇楽」 背景に「且(しばら)く共に此の飲を歓ばん」陶淵明の「飲酒」の一節を二重書ています。
マットには深い緑のベルベットを貼っています。