色よりも香こそあはれと思ほゆれ 誰が袖触れし宿の梅ぞも 詠み人知らず
花の色よりも香こそに情趣を感じます。我が家の梅の香を袖に移したのはどなたでしょう。
折しもあれ花橘の香るかな 昔を見つる夢の枕に 藤原公衡
折しも橘の香りがします。昔の夢を見ていた枕元に。
涼しやと風のたよりをたずぬれば 茂みになびく野辺の小百合葉 萱齋院
風のたよりに涼しい風が届きました。その元を訪ねると、茂みの中で野生の百合に出会いました。
藤袴寝覚めの床に香りけり 夢路ばかりと思ひつれども 登蓮上人
藤袴が寝覚めの床で香っています。夢の中でのことだと思っていたのですが。
香りにまつわる歌を四首集めました。