夕涼

山光忽西落 池月漸東上 散髪乗夕涼 開軒臥閑敝  

山光は忽(たちま)ち西に落ち、池(ち)月(げつ)は漸(ようや)く東に上る。髪を散じて夕涼に乗じ、軒を開いて閑敝(かんしゃう)に臥す。

山の光はたちまち西に沈み、池に映る月はようやく東に上りました。髪を解いて夕べの涼しさを受け、窓を開けてのんびり寝転がりましょう。

孟浩然「夏日南亭にて辛大を懐ふ」。昔の男性は中国でも日本でも、長い髪を簪で留めていました。

冷銀箋に書き、月のぼかし染めを施しています。額から浮かせた台に薄紫の阿波紙を巻き、中心をずらせて作品を貼っています。

マットには京都北山で亜いじめをなさっている大山様から分けていただいた布を使っています。20回以上染めた深い藍色です。